9月の連休に小布施に出かけ、「栗の点心 朱雀」をいただいてきましたので、その時の様子を紹介します。
小布施堂の栗菓子「朱雀」は栗が好きな方にはとても有名な栗菓子、毎年、9月から10月にかけて新栗の仕込み時期に合わせて提供されます。その年の収穫された初栗を味わえるととても人気がある栗菓子、毎日限定数量の販売のため、朝から整理券を求める行列ができることで有名です。
今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、例年とは違う形での運営、チケットペイを利用したオンライン事前予約制に変わっています。小布施堂本店の前には、予約制である旨の大きな看板が出ていました。事前予約になっていることを知らずに早朝から並んでしまうお客さんがおられるのかもしれません。
予約方法など運営の詳細は以前のブログ記事で紹介しています。
新栗のシーズンは、「朱雀」のほか、「モンブラン朱雀」も事前予約制。当日予約なしでいただけるのは「モンブラン」のみ。「モンブラン」はお持ち帰りのみのため、現地でいただくことはできません。
夫婦そろって栗好きの我が家では、「朱雀」を一度でよいので食べてみたいと思っていた栗菓子。今年はネットで予約ができると知り、早速チケットペイで予約をしていたのですが、予約後、小布施での過ごし方など情報を調べている中、小布施堂が運営する宿「桝一客殿」の「朱雀」付きプランに空きがあるのを見つけ、即予約。9月の4連休に小布施に出かけ、小布施堂の市村家本宅で「朱雀」を味わってきました。
(宿泊の様子など、連休で出かけた旅行の全体は後日のブログで紹介する予定です)
「桝一客殿」の宿泊でチェックイン時に渡されたのは、黄色の「朱雀券」と本宅の場所などの案内図。「朱雀」はチェックインの翌日の好きな時間にいただくことができるプラン、朝食のすぐ後では「朱雀」を美味しくいただけないので、11時でお願いしました。
この券を持って正門に伺うと、本宅2階で「朱雀」をいただくことができます。
スタッフから「入口の正門付近には一般予約のお客さんが並んでおられますが、その列に並ぶ必要はなく、時間にいらしていただき、スタッフにこの「朱雀券」を見せていただければご案内いたします。」との説明。とても威力のあるチケットです。
予約していた11時に伺うと、昨日のスタッフの説明通り、正門前には、チケットペイで事前予約したお客さんが並んでいました。列のお客さんには申し訳ないのですが、先頭付近にいらしたスタッフに「朱雀券」を見せて中に案内していただきました。
正門から入ったところにある中庭「えんとつ広場」には、今年「朱雀」の提供を行うテントが張られていました。例年、「朱雀」は本宅1階で提供されていますが、今年はコロナウィルス感染拡大防止のため、外に設営したテント中での提供。テントの中との説明にどんな場所なんだろうと思っていましたが、このような場所だったのですね。想像よりもおしゃれなオーブンエア席、これはこれで気持ちよさそうです。
4人で1つのベンチテーブルをシェアして使う形、各席の間にはアクリル板が設置されていますので、安心していただくことができる環境です。アクリル板は透明なもの、友人同士やご夫婦など複数の方で楽しまれるケースでも違和感はないものと思います。
正門に一番近い場所にもテーブルがあります。ペット可となっていた座席は、このエリアの一番奥のテーブル席(4席)です。
一般のお客さんは、正門から入りスタッフによる検温を受け、手指消毒、チケットを自販機で購入してから着席すると、「朱雀」が運ばれてくるという流れでした。
「桝一客殿」の宿泊客は、この本宅の中で「朱雀」をいただきます。正門からスタッフの案内で本宅に入りました。
本宅内の座席は2階に用意されていました。4人が座れるテーブルが4つあり、「お好きな席に」と案内されました。
スタッフから「この時間帯は、他のお客さまがいらっしゃらないので、お写真など自由にお撮りいただいて構いませんよ。」とのお声掛け。貸切と分かったので、「朱雀」が用意されるまでの間、ゆっくりお部屋の中の様子を見せていただきました。
座った席からは、お庭の緑がよく見えます。障子が開けられた状態ですので、涼しい風が入りとても気持ちの良いお部屋です。
手が入ったお庭はとてもきれいで落ち着けます。
お部屋の中には、古い屏風が置かれていたり、
高井鴻山の掛け軸があったり
さりげなく置き物があったりと、まるで美術館の中にいるようです。
お庭の緑を眺めながら涼しい風に当たっていると、「朱雀」が運ばれてきました。
念願だった「朱雀」と対面しました。お盆には、「朱雀」のほか、ほうじ茶、そして、箸とスプーンが添えられています。
もう一つ乗っていたのが、今年の新商品「奉書栗」。栗の美味しさを手軽に楽しめるものとのこと、ぜひお味見くださいとのことでした。
ほうじ茶のお代わりも一緒に運ばれてきました。お代わりが欲しくなる理由は、いただいてみるとわかりました。
一度食べてみたかった「朱雀」を目の前にして、気持ちが昂るなか、いただきました。
おそうめんのような栗は、栗そのもの、蒸した栗を裏ごしして砂糖などの甘味を加えない栗本来の味を楽しめるとの説明通りのお味です。栗は鬼皮、渋皮をむく必要がありますが、何もせず栗をいただけるのはとても幸せ、栗のお味をしっかりと楽しめます。
箸で持ち上げると、ほろっと崩れしてしまうほど繊細、いただいている途中で、どんどん乾燥していくようでした。
栗の中には、栗あんが入っています。栗あんの甘味を栗に付けながらいただくと、さらに美味しさが増すもの、栗好きの方であれば、たまらないお味かと思います。
モンブランのように甘みや生クリームのコクを加えた楽しみ方もよいですが、栗本来の美味しさを楽しむならば「朱雀」。栗好きの皆さんがこの「朱雀」を求めて行列する理由がよくわかりました。
途中、ほうじ茶をいただきながら栗を楽しみましたが、「朱雀」にはお茶が必須。栗のみでできたお菓子ですので、味わう途中で口の中の水分が取られてしまう感じがしました。ほうじ茶の入った土瓶からお茶を継ぎ足しながら栗を味わいました。
少しづつ栗の美味しさを味わいながら、食べ終えると、栗を味わった満足感が沸き上がってきました。栗のお味を確かめながらいただくと、食べ終えるまでに30分ほどかかっていました。
食後は、ほうじ茶をいただきながらひとしきり休憩。風が抜けるお座敷はとても心地よく、夏の暑い日はここで過ごしたいと思うほど。静かでゆったりした心地よい空間で栗を満喫できました。
食べ終えた後は、奥から退出するのがルール。混雑する時期は導線が決まっていて一方通行です。
出口近くには、小布施堂のお菓子の販売テントがありました。先ほど味見をさせていただいた「奉書栗」もあります。
栗の美味しさを味わった後ですので、ついつい買いたくなる方も多いと思います。このテントでは、現金支払いのみですが、割引もあり購入するならばこちらがお得でした。わが家も自宅用に「栗むし」を購入しました。
「朱雀」を食べ終えて、本宅を出ると、栗の納入をしているところに出会いました。このグレーのカートの中には収穫したばかりの栗がたくさん入っています。
この栗は、奥に見える冷蔵庫のように涼しい倉庫に保管されるようです。
カートの中にはぷっくりと膨れた栗がたくさん!これまで見たことがないようなサイズの大きな栗です。さすが小布施堂、上質な栗を使ってお菓子を作られているのがわかりました。
季節の小布施堂紹介パンフレットの写真は、イガ付きの栗が割れたところ。この写真を見たら、栗を食べたくなりますよね。
小布施の町のあちらこちらには、栗畑があり、栗の収穫シーズンでした。朝の散歩では、木の上でまさに割れたところの栗を見つけました。この大きさの栗はなかなかありません。
偶然にも空きを見つけた「桝一客殿」の宿泊プランのお陰で優雅に「朱雀」をいただくチャンスを得ました。落ち着ける空間でゆっくり「朱雀」を味わえる貴重な体験、「来年も再び朱雀を!」と願ってもなかなか叶わないことと分かっていますが、来年も宿泊できるよう予約を入れたいと思っています。
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